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「ボクの歌はすべてノンフィクション」
R.スプリングフィールド
アルバム『TAO』で新境地を開き、一段とスケール・アップしたリック・スプリングフィールドの久々のステージは、やっぱり素晴らしかった。1月29日、東京・武道館。超満員のファンを前に、リックは大熱演。ちょっと音のバランスが気になったものの、ヒット曲のオンパレードというべき構成は彼ならではの迫力だった。節分の日にあたった名古屋公演では、彼がステージから豆をまくサービスに、ファンは大喜び。余裕のあるステージングを見せてくれた。
本誌初のインタビューに応じたリックは、“永遠の青年”そのもの。笑顔がとてもよく似合う。
<中略>
−−SFに代表されるファンタジーに興味を持った理由は?
リック・スプリングフィールド(以下R):子供の頃、ロボットをお店で手にしたときだね。ボクは、小さな頃はまだオーストラリアにすんでいたから、日本製のおもちゃがよく手に入ったんだよ。
−−いまでも持っていますか?
R:ノー(笑)。いま持ってたらすごく値打ちがあるよ。でもコレクションには目がないんだ。ブリキのロボットも集めてる(笑)。
−−あなたの音楽性にファンタジー的な要素はありますか?
R:ないね。SF趣味と音楽は別物だ。ボクの作品はすべてノンフィクションだしね。昔、フィクションの曲を作ったこともあるけど、正しいことと思えなくて・・・。だからいまはすべて“事実”を曲にしてる。
−−それでは『TAO』はあなた自身なのですね。
R:そう。「マイ・ファーザーズ・チェア」は父に対するボクの素直な気持ちを歌ってるし、他の曲もそうさ。
−−じゃ、あの「ジェシーズ・ガール」もあなた自身の出来事?
R:もちろん、自分の周囲の環境とか友だちのことを歌にしたのさ。作りものは良くないよ。
−−“TAO”(「TAOISM=道教」)という言葉に興味を持ったきっかけは何ですか?
R:ボクは空手をやっているせいもあって、ずいぶん前から東洋思想に興味を持っててね。レコーディングの合い間に読んでいた本にこの言葉が出てきたんだ。それからだなぁ、“TAO”に関する本を読むようになったのは。
−−空手以外に好きなスポーツはありますか。
R:何でも好きだけど、しいてあげるならスキーとATC(バイクの一種)だね。最近はよく泳いでいるよ。
−−『TAO』では音楽のクオリティが高くなって、ポップスに慣れたティーンエイジャーには難しかったのでは?
R:かもしれない。ただボクがいままでやってきたことは、全部自分がやりたかったことだから、もしファンがついて来てくれなかったら、それは仕方がないことだと思う。とにかく大切なのは、ボク自身がやりたいことを表現することなんだ!
<後略>
インタビューアー:村岡裕司
撮影:管野秀夫etc.
FM STATION 1986年No.5より抜粋。
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